委任請負,労働関係及び和解示談の契約 | 会社設立・許認可・経営支援フォーラム

委任請負,労働関係及び和解示談の契約

4.業務委託・請負・委任に関する契約

委託された仕事を完成させて報酬を受ける契約やある特定のサービスを提供する契約としては、委任契約、準委任契約、請負契約等の形態があります。委託は普通名詞で、民法上の委任を示すことが多いです。委任契約と請負契約の相違は請負が「仕事の完成」を約束する内容である部分です。実際のところ建設工事請負契約(下請契約)という名称で契約書が作成されることが多いでしょう。

   委任契約   準委任契約  請負契約製作物供給契約
説明一方が法律行為をすることを相
手方に委託し、相手が承諾する
ことで効力の生じる契約。
委任の場合であるも、「法律
行為」ではない事務の委託
を対象にする契約。
仕事の完成を約束し、相手
方がその結果に対して報酬
を与えることを約束するこ
とで効力の生じる契約。
請負と売買の中間的な形
態の契約。
・弁護士への訴訟の委託
・税理士・行政書士等の士業
への業務委託
・賃貸不動産管理委任契約
--管理会社が大家の委託によ
り賃料集金、清掃管理等を行う場合。
・医師との診療契約
・コンサルタント業務契約
--学識経験を有するものが、
情報・資料の提供・分析・
調査の活動を通して委託会
社の経営企画についての相
談にあたる契約。
・運送契約
・清掃業務
・クリーニング契約
・建設工事請負契約
--請負は注文者から請負っ
た仕事を請負人が完成し、報
酬を支払うのが原則なので、
必要に応じ分割払いの特約を
つけたりします。
・靴屋さんが顧客の足に
あった靴を製造して、販
売する。

5.労働関係に関する契約

労働契約では、使用者と労働者の間で誤解が生じないようにすることが大切であり、そのための条件整備としての書面化は不可欠です。労働関係についての規則は、労働基準法等の関連法規、労働協約、就業規則等によって社内で既に定められることが多いですが、それらで充分に内容が整備されていない場合には、個別に契約書(労働条件通知書)で定める必要があるでしょう(平成20年3月労働契約法施行)。最近では、在来型の正社員だけではなく、契約社員、パート・アルバイト社員、嘱託社員、労働者派遣社員等様々な名称の契約形態がありますが、その契約内容は実態に即して検討することが大切です。

その検討するポイントは、「勤務時間の長短」と「契約期間が有期か無期か」です。

1.アルバイト・パート等短時間労働者契約:1週間の所定労働時間が同一の事務所に雇用される「通常の労働者」の一週間の所定労働時間に比べて短い労働者との労働契約。(ちなみに「通常の労働者」とは「一週間の所定労働時間」の基準になる労働者です)

会社は、① 昇給の有無 ② 退職手当の有無 ③ 賞与の有無  入社時に文書(雇用契約書や就業規則)で明示することを義務づけられてますが、労働条件を口頭では説明されても書面が交付されないことがあります。そこでトラブルになりやすい上記3つの事項については、口頭でなく文書の交付等が会社に義務づけています。その他、会社は契約期間、労働時間、休日、賃金、退職等の重要な労働条件につき書面での明示をするように努めるものとされています。

2.有期労働契約:期間が1年契約とか6ヶ月契約など期間の定めのある労働契約、契約社員、嘱託社員等。(一方、無期は期間の定めのない労働契約、いわゆる正規社員。)

期間の定めのある場合、民法上の雇用契約にまず相当しますが、労働契約法改正(平成25年4月施行)にて一定の定義が定められました。

① 無期労働への転換:有期労働契約が反復継続され通算5年を超えたときには申し込みで無期に転換できる。
② 雇い止め法理:最高裁判例で確立した「雇い止め法理」が概ね法律に規定された。 一定の場合には雇い止めが認められないルールです。
③ 不合理な労働条件の禁止:有期労働契約者と無期労働契約者との間で、期間の定めによる労働条件の相違を禁止するルールです。

3.労働者派遣契約と労働者派遣業(及び労働契約類似の形態)
労働者派遣契約
請負契約(参考)



労働者供給契約(参考)
内容説明 労働者派遣には一般と特定
の2種ある。
一般派遣は、労働者が派遣元
に長期雇用されない形式の派
遣事業形態で、派遣先がある
時にだけ雇用関係を結ぶ。こ
の事業を行う場合は、厚生労
働大臣の許可が要る。
 特定派遣は労働者が派遣元
に長期雇用される形式での派
遣事業で、労働者は、特定の
派遣先での仕事が終了した後も、派遣元との雇用関係が継
続す。
 派遣を行う場面では、まず
派遣元と派遣先間で包括的な
基本契約を締結します。個別
の契約では、業務内容・派遣
場所・派遣期間・指揮命令を
する者・就業日等の就業条件
を定めます。
委任契約との対比では、
請負契約は、受注者が発注者
からの「仕事の完成」を約束
する点が相違点だが、受注者
が、請負った仕事を履行する
に当り、受注者が発注者とは
独立して、その労働者と雇用
関係と指揮命令関係を構築し
ておく関係である。
自社で支配関係にある労働者を、他社に供給する労働契約。
供給元が労働者を供給先に派
遣する点は労働者派遣事業と
同じだが、供給元の労働者に
対する管理で、労働者派遣で
は派遣元が労働者と雇用関係
を結んでいるのに対し、労働
者供給では供給元が雇用関係
ではなく、いわゆる封建的な
支配によって労働者を動かし
ている。この形態では、労働
者が劣悪な労働環境に陥いる
危険がある。
例外は労働組合等が厚生労働
大臣の許可を受けた場合に行
う無料の労働者供給事業のみ。
雇用と
指揮
派遣元と、雇用関係がある
派遣先と、指揮命令関係がある
発注者には、
指揮命令権はない。
請負う受注者が独立して労働者を雇用し、指揮する関係。
供給元 雇用関係
    指揮命令関係
供給先 雇用関係
    指揮命令関係

4. 外国人労働者との雇用契約
外国人であっても、日本で就労する限り日本の労働法令が適用されます。外国人には、一定の在留資格が必要ですが、就労が出来ない資格もありますので要確認です。

 

6.和解・示談関係の契約

契約そのものではありませんが、契約がトラブルにまで発展してしまった場合などに備えておく、いわば事後的なものです。
和解とは、当事者間に生じている紛争を当事者の互譲によって止めることを内容とする民法上の契約です。その民法上の和解といえるためには、当事者が互いに譲歩することが必要です。和解契約は通常、当事者が「何について和解をしたか」を明確にするため、まず「争いの実情」を記載し、次に「和解の内容」を記載します。しかし実際のところ、当事者の一方のみが一方的に譲歩する契約が締結されることも多くあります。これは、通常示談といわれます。

1. 金銭貸借に関する和解契約

金銭債務の和解契約では、債務金額の確定と支払い期日、利息、損害金等を決めることが必要です。分割金(元本)を間違いなく期限に払えば利息を免除する等緩やかにする旨にしたり、分割金を一回でも怠れば、債権者は全債権の履行を直ちに行うべきことを債務者に請求できる「期限の利益喪失条項」を付したりします。

 

2. 動産売買に関する和解契約
例えば、分割払いで購入した機械の性能が充分ではない場合、売主・買主が以後どうするかの和解をする場合があります。機械の能力不足は、目的物についての「隠れた瑕疵」に相当しますので、損害賠償請求ができます。契約解除も可能ですが、代金の減額という形で、双方で折り合いをつけることも一案でしょう。請求・解除いずれにせよキズを発見してから1年以内にしなければいけません。

 

3. 準金銭消費貸借契約
この契約は、もともとは金銭の貸し借りではない売掛金債務のようなものを、金銭の貸し借りに切り替える契約で、債務の一部猶予などを目的にしています。何本も債権が存在する場合にそれらの存在を確認した上で、一本の債権にまとめることは、法律関係の簡素化から望ましいでしょう。消滅時効は2年から10年(5年)になります。

7.合併・事業譲渡に関する契約

企業は、事業の拡大やコストの削減の目的から、合併、会社分割、事業(営業)譲渡、株式譲渡を行う必要がでてきます。 合併は、株式及び事業を全部包括的に移転させる方法です。会社分割は、いくつか経営している事業のうち、特定の事業を、他の会社又新設会社に包括的に移転させる方式です。事業(営業)譲渡は、ある特定の有機的一体となった資産を個別的に移転させることで、株式譲渡は、均一に細分化された出資の最小単位としての株式を一定数移転させることです。株式交換・移転契約の形式もあります。これらはいずれもいわゆるM&A(事業再編)の形態として、近年日常的に行われるようになっています。ひとつの個別の契約というよりは、会社内部での、取締役会決議、株主総会決議、債権者保護手続き等の一連の手続きを経てなされるものです。流れとしては、まず双方で概括的な「覚書」を作成・確認し、次に「正式契約書」を作成することが多いようです。 詳細は 事業再編・営業譲渡 のページへ。

  1. 会社合併覚書
  2. 会社合併契約書
  3. 会社分割覚書
  4. 会社分割契約書
  5. 株式交換・移転契約書
  6. 事業(営業)譲渡覚書
  7. 事業(営業)営業譲渡契約書
  8. 株式譲渡契約書
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