組織再編の分類 | 会社設立・許認可・経営支援フォーラム

組織再編の分類

各M&A用語の簡単な説明

このページでの言葉の使い方: 買収する企業を「甲社」、買収される企業を「乙社」と呼ぶことにしてます。

【1】株式取得(資本参加)

株式譲渡関連

株式譲渡関連

株式会社はその名のとおり均等に細分化された証券たる株式を発行することで資本の出資者を募っています。一般的な出資者は企業業積に対応した配当を期待することを第一に考えますが、このM&Aでは株式への出資比率の多寡で多くの議決権の行使を通して株主総会で会社の方針に関与していくことが第一の眼目になります。

1.株式譲渡
株式をいくらにて算出しこれを取得できるかは、大変難しいのですが、時価および簿価を加味して、基本的には会社の純資産を基本に算定する。一定の株式を取得することで株主総会での発言権を行使して、会社の方針に関与する。議案により、特別決議、特殊決議で多数を取り、会社の舵取りを間接的に行っていく方法です。
2.株式交換
乙社の株主に同等価値の甲社の株式等を与え、乙社の株式は甲社がすべて買い取ることにより、乙社の株主は全て甲社自身がなることで、乙社を甲社の完全子会社化する手法。甲社は子会社の100%親会社になる。子会社にとっては親会社の傘下に入ることで効率化を図る。新会社法施行により、株式の代わりに現金を与えることも可能になったが、この場合債権者保護手続きを要するとされています。

◎株式交換による買収

~乙社の一部株主が買収に同意しない場合

株主交換は、乙社の株主総会の特別決議を得ることにより強制的に全株の株式交換が 可能になります。これに対して、株式の売買のよる買収は、反対株主から株式を購入すするのが困難な場合が想定され、株主数が多い場合や反対株式主が多数いる場合は他の再編方法に比べて不利であります。 この株主交換なら乙社の3分の2以上の議決権をもつ株主の賛同があれば、全株に対して交換可能となるし、乙社の株主全員に対して甲社側の株式を交付することになります。

このとき甲社側と敵対関係にある株主もそのなかに含まれてくるが、平成19年5月からの対価の多様化・柔軟化の改正によって乙社の株主に対して甲社側の株式ではなく、 例えば現金を交付することによって、買収後の甲社には旧乙社側の株主はまったく存在しないことになります。

さらにいうと、甲社が、他社である乙社の株式を買収しようとするとき、乙社の株主が一人だった場合には、いいのだけれども、もし乙社の株主のうち3分の1未満の株主のなかに買収に反対の株主や、所在不明の株主がいるような場合には是非この株式交換 の方法が薦められます。

反対株主の選択可能な手段としては、持ち株を適正な価格で買い取るように会社に対して請求することのみであるし、所在不明の株主に対しては順次所在の明らかになり次第「対価」の支払いをすればよい。

ただし、税制については、本ページの範疇ではありませんが、株式交換については単に株主の交代がされただけのことなので会社の資産云々など問題にされなかったのだが、 平成18年10月1日以降に行われた株主交換については、一定規模以下等の税制適格要件に該当しない場合には、乙社の所有する全ての資産について評価損益を計上しなくてはいけなくなったようであります。

3.株式移転
会社を新設し、乙社の株主にその新設会社甲社の株式等を与え、乙社の株式は新設会社がすべて買い取ることにより、乙社の株主は全て新設会社がなることで、乙社を新設会社の完全子会社化する手法。新設会社甲社が完全親会社になる。甲社という持ち株会社を作ることになります。子会社は事業そのものに専念し、親会社は経営の舵取りに専念する。

【2】事業の再編

〔1〕事業譲渡(資産買収)

企業のもつさまざまな事業資産(株式を除く)を移転させることで、乙社譲渡側は効率的でない非コア事業をスリム化し、甲社譲受側はその事業資産を有効活用して収益に結びつけることが期待できます。旧商法では、「営業」が主に使用されていました。 事業(営業)とは、「専用店舗、賃借権、取引先顧客リスト、ノウハウ等個々の財産の有機的一体となった集合体(最判昭和40年9月22日)」としての位置づけなのでその移転のために個々の売買契約締結等の煩雑さはあります。 単なる一部譲渡であれば、日常一般的には取締役会の業務執行事項です。 定款に定めがない限り、株主総会に決議は不要でしょう。

1.全部譲渡
全ての事業資産を移転させることです。譲渡する乙社側のみならず譲受する甲社側でも株主総会の特別決議を要する。
2.重要な一部譲渡
一部の重要な資産を移転させることで、譲渡する乙社側で株主総会の特別決議を要する。

◎事業(営業)譲渡の場合 ~そのメリット

本来、企業を買収する主な目的は、その企業の営む事業そのものに価値を認めているからでしょう。事業よりも乙社の有する許認可等の既得権を、手間を省いてダイレクトに買収しようとする場合もありますが、 事業譲渡はその事業にまつわる資産負債のみの移転を受けるだけなので、他の方法に比べ簿外債務が移転してくる可能性もあまりなく、第三者に対する保証債務の引き受け責任が生じるようなこともない。危険の回避を考えると、この事業譲渡の方法が選択されるでしょう。

デメリットは、まず一般的にその譲渡の伴い現金の支払いが必要になってくることです。このため、瑕疵担保責任の問題が生じやすくなり、その取引(再編行為)は、税制上「非適格」に該当し法人税、消費税、不動産の移転に伴う登録免許税、不動産取得税の問題も、発生してくることもあります。また、事業譲渡の場合、会社分割や合併とは異なり、事業譲渡契約だけでは個別財産は当然には移転しませんので、個々の財産・法律関係について移転手続きを個別にとることが、必要になります。また対抗要件をしなえる際も、各財産・法律関係ごとに行う必要があります。

内部的には、事業譲渡で株主総会の決議を要するのは、重要なものに限られ、一般的なものは常務として取締役会等の決議で足るので機敏性があるといえます

〔2〕会社分割

会社分割とは、他企業の事業の一部を譲受け、譲渡するイメージです。 会社法制度上の位置づけとしては、合併と同様に包括承継ですので、分割される企業の個々の財産移転についての手続きを個別にすることなく一括して行うことが可能です。 事業譲渡が、事業を有機的一体の集合体として捉えることから、個々の財産の移転について売買契約を締結したり、第三債務者の承諾を取り付けたりすることが必要ですが、この 会社分割制度は、包括的に債権者保護手続きをすることで達成することが可能です。 甲社が既存会社の場合の「吸収分割」、甲社を新設会社にする「新設分割」に分類できます。

1.吸収分割
既存の会社甲社(承継会社)が他の会社乙社(分割会社)の事業の一部を吸収するも、乙社の他の事業は継続させる形で、これによって承継する甲社に、承継させた乙社のその事業資産が承継されます。両社とも継続して存続します。
2.新設分割
既存の数社乙社が、新規に会社甲社を新設することにより、各既存会社の事業の一部を新会社に承継させることにより、新設会社甲社に既存乙数社の資産が承継されます。既存の会社はそのまま存続します。

◎吸収分割による会社買収方法 ~現金支払いによらない共同事業を営むための方法

単にM&Aといっても、さまざまな形態がありますが、甲社がまたは乙社が、又は両者が その後の生存・発展をかけて、契約上の技術提携という形も考慮しつつ、包括的な事業の 再編を考えるときに、吸収分割による場合があります。

例えば、次のような場合です、

甲社の営むA事業と、乙社の営む事業のうちのB事業は共に関連性はあるも、両者が単独で行うには、一定の限界をお互い感じている。そのため、乙社のB事業のみを甲社に移転したいと考えているのであるが、ここで、事業譲渡、合併、会社分割が組織再編の方法として候補に挙がる。
甲社には現金の余裕がない。
乙社の分割対象財産の中には多くの含み益を有する資産が含まれている。
甲社のA事業に比し乙社のB事業の規模は数段小規模であるが、乙社はB事業のほかに多彩な事業を展開している。
会社全体の規模は乙社が甲社に比して、かなり巨大であるので、甲社は乙社に吸収合併されると、甲社の現経営陣において、その後の地位的な不安要素があるので、甲社側として吸収合併は回避したいと考えている。
この様なとき、まず合併はありえないにしても、事業譲渡を選択すると、3.の含み益の理由から多くの法人税の負担を強いられてしまい、結果としてキャッシュフローがショートしたり、乙社において予定していた事業の移転に伴う資金繰りを期待できない場合が想定されます。
そこで移転に伴う消費税も法人税も生じない適格吸収分割が薦められる。結果として、乙社のB事業を承継した甲社を、甲社の株主及び乙社が共同で所有することになるが、当初の計画は予定通り完了することになります。

【3】合併

合併とは、他企業を丸ごと飲み込むイメージです。個人でいえば“相続発生”に相当し、 相続と同じく被相続人に当たる被合併企業の株式も事業資産そのものも全部そのまま承継する形態のM&Aです。先に述べた会社分割と同様に包括承継のひとつという位置づけですので、 合併される企業の個々の財産移転についての手続きは不要で、一括して行うことが可能です。一括して行う手続きとして、債権者保護手続き、合併公告等が必要です。

1.吸収合併とは、
既存の会社甲社(存続会社)が他の会社乙社(消滅会社)を吸収した結果消滅させる形で、存続する会社に、消滅した会社の事業資産の全てが承継されます。甲社が継続して存続します。
2.新設合併とは
既存の数社乙社が、新規に会社を新設することにより、各既存会社は消滅させる形で、新設会社甲社に既存数社の事業資産が承継されます。既存の会社は全て消滅します。

◎吸収合併によるもの

合併によるM&Aは、乙社が消滅し、その全ての権利義務を甲社又は新設会社(以下甲社等)という)が包括的に承継する方法である。そのために、乙社の株主に対して甲社等の 株式やその他の資産を交付するのであるが、その場合にまず問題になるのは、「合併比率」 である。交付資産が株式の場合、甲社は自社の株式を乙社の株主にその乙社の株式と引き換えに交付することになるのだから、いわゆるその「交換比率」によりM&Aの善し悪しが 問われる。もし両者の1株あたりの評価が等しいならば、1株対1株で交付するのであるも、 当然に両者の駆け引き上、お互いに自社の株価に対して相手の株価の評価を低く見積もるのが当然であり、互いに自社のいけない資産・利益を高く主張しあう。

平成19年5月から、対価が多様化されたことから、合併により乙社の株主に対して交付する対価が、現金の場合が認められています。

この場合は、そのまま乙社の株式のみを評価し、その対価として金銭を交付することになる。 ただこの場合一方が金銭を反対給付して、乙社の株主からその株主としての権利を承継するという点に着目すると、乙者側の株主は、移転前は株を有していたが、移転後には単に金銭のみが手元に残り、単に株式の譲渡をして、株式を第三者に売買したのとなんら代わりはないということである。ただし、甲社側においては移転後の状況はかなり異なってくる。

仮に株式の売買であれば、甲社側が新たに取得するのは株式のみであり、乙社と甲社は有機的に結合するにでもないので、仮に乙社においてその後簿外債務が発覚したりしても、甲社側にとっては乙社の株式に対して出資した資金のみをあきらめれば済むという株主有限責任原則で、投下資本を上回る債務の負担を強いられることはないのである。

これに対し、一般的な法人の売買M&Aは、いわゆる目に見えない簿外債務が怖い。どんな買収案件でも大なり小なりこれが出てくることを想定しておかなければいけない。 それでもなぜ、乙社を合併する形をとろうと

  1. 買収資金を捻出する余裕が無いため、株等を発行してするとき
    つまり甲社株はたとえ何株発行しても、その登記や事務に要する資金以外に資金が必要となるわけではないので、巨額の増資により資金なくして大きな会社でも吸収可能という理屈になる。 ただし、この場合なら株式交換の方式もあることはに紹介した。
  2. 当ですが、乙社が信頼度の高い監査を受けていることにより、簿外債務の存在の可能性が低い、そしてまたその確かな担保の保全ができている場合。
  3. り大きめの事業活動を可能にするため、有機的に結合することによるメリットを享受すべき必要がある原因があるとき、例えば、業種によりその許認可の取得のために最低限の資本金条件をクリアすべきときや、また乙社の有する借用不可の制度的許認可権をどうしても甲社が必要とする場合。このような場合には、株式資産全てを取り込んで再編するのがいいのかも知れません.
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