3.不動産取引で使われる契約
売買と賃貸借が重要な取引です。売買契約については、動産の売買と基本は同じです。ただ、個人であっても同様ですが、企業の取引については工場など建物つきで土地を購入することもあり、農地の売買もあります。こんなときには、農地法、国土利用計画法などの規制について踏まえておく必要があります。
賃貸借契約においては、借地借家法に規定されている借地権、借家権の権利の意味が大切です。最近では、通常の賃貸借契約よりも、貸す側に有利な条件を定めた定期借地権、定期借家権が活用されるようになってきました。貸す側からすれば今まで以上に土地や建物を活用した事業展開のチャンスが生まれますし、借りる側としても、事業の性質に応じた新しい活用法を考えることができます。いずれにせよ、紛争を避けるためにも、賃貸契約の際には借主、貸主双方がそれぞれの立場から、使用目的、契約期間、フロア面積、敷金・保証金の金額をチュックしておく必要があります。
- 1. 土地売買契約
- 更地なら問題ないのですが、土地には借地権の制限が付着している場合には、賃貸人たる地位の承継を伴う売買契約になります。土地所有権の移転により買主は土地の賃貸人の地位を承継します。借地権の価格は土地の価格の6~8割程度、底地価格は2〜4割程しかないが一般的です。土地がどんな借地権によって制限されているかは重要です。その内容は十分把握して明記すべきです。
- 2. 農地売買契約
- 農地を「他の用地に転用し」かつ「権利移転」するためには、農地法第5条の許可が必要になり、これがない契約は無効になります。そのため許可が得られなかった場合に備え、清算のための規定を設けたりします。
- 3. 国土法規制土地売買の合意
- 国土利用計画法における規制区域内の土地について取引をする当事者は、予め都道府県知事の許可を受けなければいけません。許可前の時点では本タイトルのように合意書の作成にとどめます。後日許可が得られた時点で始めて具体的な売買契約を締結します。
- 4. 借地権付建物売買契約
- 建物の所有権を取得しても、敷地の利用権がなければ、土地所有者から建物撤去・土地明け渡しを請求されます。借地上の建物を買い取るには、基本的に敷地利用権も共に買い取る必要があります。主な敷地利用権は賃借権・地上権です。
- 5. 駐車場使用契約
- 駐車場賃貸借契約、資材置場賃貸借契約は、建物所有を目的とするものではないので、借地借家法の適用はありません。賃貸人の解約申し入れに正当事由は不要で、契約条項ないし民法(第167条)により解約申し入れできます。
- 6. 事業用借地権設定の合意
- 事業用借地権とは、期間満了後の契約の更新がなく、賃借人の建物買取請求も排除できる借地権です。借地人の権利に大きな制限を課す契約なので公正証書による必要があります。「居住用建物賃貸事業」を目的にはできず、必ず「専ら事業の用に供する建物の所有を目的」とする場合に設定するものです。契約期間は10年以上20年以下であることが必要です。
- 7. 定期借地権設定契約
- 定期借地権は、契約の更新、建物再築による存続期間の延長がなく、賃借人からの建物買取請求も排除できます。契約期間は50年以上であることが必要です。借地人の権利に大きな制限を課す契約なので公正証書等の書面による契約をする必要があります。
- 8. 事務所(店舗)の賃貸
- 事務所や店舗としての賃貸借も、それが独立した区画の賃貸という要素が強い場合には、建物の賃貸借として借地借家法の適用はあります。ですから、賃貸人の解約申し入れには正当事由は必要です。このため、貸主としては、営業の許可に重点を置いた契約形式をとる場合もあります。
- 9. 定期建物賃貸契約
- 定期建物賃貸契約は、契約期間の満了により更新されることなく確定的に契約が終了する借家契約を認めるもので、借家人に厳しい内容です。この契約を締結するには、その旨を明示するため、原則として公正証書等の書面のよる必要があります。口頭の契約は効力を持ちません。

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