合名・合資会社は無限責任社員が会社の責任を負うという無限責任制度です。民法上の組合も法人ではなく人の集まった組合ですので当然各人が最終責任を負うものです。会社・組合が負担しきれない債務・損失を構成員が最終的に負うという大きなリスクがありました。
ところが、このLLPは有限責任制度を明確打ち出してて、組合自体と各構成員の責任を分離し、構成員の負う事業リスクは出資金の範囲に限ったのです。この点で参加が容易になっています。アイデアや知識、技術、能力、やる気は十分あるが、資金がないという起業志望者には大きなチャンスとなるでしょう。
LLPでは、会社の機関を出資者同士で自由に設計することが出来ます。会社法の中に新設された合同会社LLCもこれと同様です。株式会社という組織は原則的に、株式数に応じた発言権である議決権を有するものですが、LLPでは、各構成員が出資したその出資比率とは、あえて異なる議決権や損益分配を契約上定めることが可能です。出資比率に関わらず、事後の貢献度に応じて利益配分や議決権を決められることができるのです。このため優秀な技術を持つ研究者個人・中小企業主が大企業と対等の立場で共同研究をコラボしてゆき、その貢献度に応じた収益のリターンを得ることも可能という極めて画期的な仕組みといえます。
LLPは構成員課税の形式が採用されており、法人課税と出資者の配当課税の二重課税を避けることが出来ます。法人課税を通り過ぎるという意味でパススルーとも言います。発生した損失は出資した個人の所得税や親会社の法人税と損益と通算して納税額を圧縮した処理が可能になります。この効果により未だ収益の見込めない研究段階での共同開発事業をLLPにてテスト的に活用することが注目されています。このことから契約期間を定めることが必須とされています。
欧米のLLCが法人課税又は構成員課税を選択できるのに対し、日本のLLCは法人課税に限定され選択の余地がありませんのと比較してみてください。しかも株式会社や合同会社LLCが、赤字でも事業税を支払う必要がありますが、LLPはこれに直接課税されなく、LLPの損益は各組合員の損益と通算課税されるため税金の面で魅力的です。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
株式会社 |
構成員の有限責任 | 硬直的な組織運営
|
LLC |
構成員の有限責任 内部自治の柔軟性
|
法人課税
|
LLP |
構成員の有限責任 内部自治の柔軟性
|
法人格がないため株式会社への組織変更不可 構成員課税であるため組合員の頻繁な新規加入・脱退に不向き |
民法組合 |
内部自治の柔軟性
|
組合員が無限責任なのでリスク高く参加しにくい |
さて、メリット・デメリットを踏まえたうえで、LLPを設立するなら、どんな企画がよいのでしょうか。
それは
構成員が予め固定していて、変動の可能性が少なく、ある一定の長期ではないプロジェクト的なプランの下での組織形態であると思います。
パターン1 個人&個人の起業(ex定年後の共同起業)等が考えられます。
パターン2、中小企業同士の新事業開発テスト
パターン3、個人&企業(大学と企業の産学連携)
次は、
A氏は個人なので、出資額及び比率を高くは出来ないが、という典型的なパターンです。
本LLPの中核は、A氏の研究開発力やその経験ノウハウに掛っているので
A氏に出資比率以上の議決権を与えてその意見を反映し易くし、貢献度に応じて損益分配の割合を高めるようにする
| A氏 | B氏 | C社 | |
|---|---|---|---|
| 出資額比率 | 10% | 20% | 70% |
| 損益分配の割合=貢献度 | 50% | 20% | 30% |
| 議決権 | 50% | 20% | 30% |