旧商法では、合併は株式会社と合名・合資会社との間では行うことは出来ませんでした。
会社法では、合同会社(LLC)との間で多様な組織再編の需要が予想されるため、まず合併は全ての会社間で可能になりました。
会社分割について分割会社になれるのは株式会社と合同会社だけです。一方承継会社には全ての会社がなることが可能です。以下の表参照、
| 株式会社 | 合名・合資会社 | 合同会社 | ||
|---|---|---|---|---|
| 合併 | 消滅会社 | ○ | ○ | ○ |
| 存続設立会社 | ○ | ○ | ○ | |
| 会社分割 | 分割会社 | ○ | × | ○ |
| 承継設立会社 | ○ | ○ | ○ | |
| 株式交換 | 完全子会社 | ○ | × | × |
| 完全親会社 | ○ | × | ○ | |
| 株式移転 | 完全子会社 | ○ | × | × |
| 完全親会社 | ○ | × | × |
吸収合併、吸収分割、株式交換の効力は、従来の登記の日ではなく、吸収合併契約、吸収分割契約、株式交換契約に定めた効力発生日に生じるものとされました。これは、実務上効力を発生させたい日が土、日、祝に当たるときに「登記以外の法定の手続きが行われ、事実上の効力発生日」と「法律上の効力発生日」が異なる場合に不都合があったためです。
これに対し、新設型は、従来どおり、登記の日で変更はありません。なお、吸収合併による消滅会社の消滅の効果は、合併登記をするまでの間は、第三者に(善悪問わず)対抗することはできません。
旧商法では、合併等に際し、差損が生じる場合を想定した規定が無く、一般に債務超過会社を消滅会社とする合併等は許されませんでした。そこで、資産の評価替えやのれんの計上等の恣意的な会計処理を避けるために、会社法は、合併の組織再編行為等に際し差損が生じる場合を正面から認めたうえで、所要の開示手続きを設けました。差損が生じる場合としては、
があります。
これらの場合、存続会社の株主にとって重要な事項であるので、仮に簡易組織再編に相当する場合でも、原則として株主総会の決議を必要としています。
一方の会社が他方の会社をほぼ完全に支配しているような関係にある会社間で組織再編行為を行う場合、被支配会社おいて株主総会を開催したとしても、支配株主の意向に沿わない決議がされるはずはありません。
そこで会社法は、一定の場合に被支配会社における株主総会の決議を不要とする略式組織再編の制度を新設しました。その内容は、
乙社が甲社に比して著しく小さい場合等、一定の要件を充たす組織再編では例外的に株主総会の決議を不要として取締役会決議のみで行うことができます。譲渡制限会社では厳格化もありますが、この一定の要件を緩和しました。
◇その範囲は、
◇一定の要件とは、
会社分割において承継会社または設立会社の株式を分割会社の株主に直接交付するいわゆる人的分割の制度は廃止され、分割会社に交付する物的分割のみになりました。 ただし、人的分割は実質的に物的分割と剰余金の配当等が併せて行われる性質を有するので、会社法の下では、物的分割の効力発生と同時に、
により、人的分割と同様の効果を生じさせることができます。この株式取得および剰余金の配当には財源規制は課さませんが、流動資産の流出が想定されるので、すべての債権者にその債権者保護手続きを要することとされています。
旧商法では合併、吸収分割、株式交換等の組織再編に際して、消滅会社等の株主に対して交付される財産は、原則存続会社の株式とされており、金銭のみを交付する組織再編は認められないとされてきました。
しかし、国内外の業界からの要望もあり、存続会社の株式でなく金銭その他の財産を交付できるようになりました。ただしこの場合には原則として対価の割り当てに関する 理由だけではなく、その対価の内容を相当とする理由についても開示が求められます。